城を描きたいと思って
白鷺城を見に行ったら、
来年から解体修理に入るという。
壁など傷んでいて、いい感じがした。
烏瞰図を描きたいと思ったがそれが出来ず、
城の回りをぐるぐる廻って、
結局ここを捉えて描いてみた。
（文藝春秋刊『奧村土牛/自作自解』より jul.25 1979)

姫路城の修理が行われるということを聞いて、
その前に写生に出かけた。
美しい天守閣を仰ぐ構図で描いたが、
私はこれを描くころから
何か開放されたような気持になって、
自由に伸びのびと制作できるような
気分になっていた。
描きたいと思った対象なら、
人物、風景、動物、花鳥、なんでも
失敗をおそれずぶつかっていきたい、
無難なことをやっていては、
明日という日は訪れて来ない。
毎日そう考えるようになっていた。
（日本経済新聞社『牛の歩み』 1974）

水蓮をもらったので、鉢にさしてみたら
面白かったので、それを描いた。鉢は所蔵のもの。
（文藝春秋刊『奧村土牛/自作自解』より jul.25 1979)