1 サン・レミのゴッホ

           Paul de Mausolee & Rue Vincent van Gogh
          ゴッホが入院した精神病院とゴッホ通りの羊飼い

ゴッホは1853年、オレンダのズンデルトで牧師の子として生まれた。そして、画商店員、教師、伝道師の仕事を経て1880年から画家を志した。「ひまわり」「医師ガッシュ」などの代表作で知られている。

1888年、アルルで精神病発作から左耳を切るという事件を起こした。現地の精神病院に入院したが間もなく、重度の患者を受け入れるホスピスで精神病院でもあるアルルから北東へ32キロ離れたサン・ポール・ド・モーゾール修道院に移された。

サン・レミの町は、南側にオリーブ畑と糸杉並木が広がり、今世紀初頭には古代グラヌム遺跡が発見された場所である。ゴッホは、この病院で寝室の他にアトリエも与えられ、気分の良い日には看護人と共に外出して絵を描いていた。

モチーフは、鉄格子の窓から見える糸杉、麦畑、果実園、プロヴァンス風景などであった。こうして描かかれた油彩デッサンは150点にも及んだ。ゴッホのサン・レミ生活は入退院を繰り返しながら1年間続いた。

病院は、今も昔のまま残っていた。ひっそりとした回廊を通り抜け一室を覗き込むと、シスターが患者達に絵の指導を行っていた。彼らの視線が一斉にこちらに向けられた。他人を寄せ付けまいとしていた。

病院裏にあるゴッホ通りと名付けられた小道に出ると、可愛らしいオレンジ色のポピーの花が一面に咲いていた。偶然にも老羊飼いが数十頭の羊を連れているのにも出くわした。病院から解放された時、ゴッホも眺めたであろう風景が、そこにあった。

文と写真:奥村森

(重要)ここに掲載する記事、写真等は全て著作物です。著作権法に従って無断転載を禁止します。記事を利用される方はご連絡お願い致します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です