13 ロサンゼルスで聞いた話『電子レンジで被爆?』

             Los Angeles ロサンゼルス

2019年10月15日からロサンゼルスに何時ものように出掛けた。青い空と乾いた風の気候はやはり南カリフォルニアの特徴だ。とても気もちがよい。

レンタカーで友人アリース宅に向かう。午後3時を過ぎると、どのフリーウェイも交通渋滞が始まる。行くたびに混雑は酷くなっていく。

アリース宅に到着すると、早々彼女は、こんな事を話し始めた。「兄が送ってきたメールで、日本では2019年末を以って電子レンジが使用禁止になるの、あと二か月で処分しないと逮捕され刑務所行きになるって本当」。

とんでもない話、広島にある大学の先生の調査で、電子レンジから発せられる電磁波は広島の原爆被爆量よりも大きく、直ぐに廃棄しないと重大な健康被害を及ぼすというのだ。

日本政府は2020年をもって、全てのメーカーに生産停止を命じたという。アリースは真顔で、そんなことが本当に起きているのかと訊ねる。

私は笑いながら「そんな話初耳、聞いたこともない」と答えた。「広島の大学の先生の名前は」と彼女に質問した。どう考えてもバカバカしく、誰が考えても非常識きわまりない。

その後、彼女はコンピュータで検索したら、やっぱりフェイクニュースの欄に、この記事が載っていることを発見した。デマの出所はロシアで世界中に瞬く間に広がったらしい。

彼女の兄は、インド洋に浮かぶセイシェル諸島に住んでいる。セイシェルからロスアンゼルス、昔なら絶対に伝わらない情報が、便利で簡単なツールであるインターネットで瞬時に地球の裏側まで流れる時代。一方で、このようなフェイクニュースが一日で全世界に拡散するようにもなった。

信じるか信じないかは自分次第と言えばそれまでだが、これがもっと信憑性の高い内容だったら、とんでもないことになると背筋が寒くなる思いがした。

文:吉田千津子 写真:奧村森

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