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Togyu Okumura's paintings 奧村土牛作品
1941(昭和16年)52歳



 

Okurebi
作品『遅日』
再興第28回院展出品
絹本彩色、額
106.3×167.2cm
1941

昭和15年の正月急性肺炎になった。
文展から伊東深水氏と池田遙邨氏、
美術院から酒井三良子氏と私の四人が
南支へ派遣されることになり、
一月四日が打ち合せ会という前日、
急に41度の高熱を発して意識不明に陥った。
同行出来ず、今でも残念に思って居る。
この病気で骨と皮ばかりに衰え、
六月熱海に静養に行った。
奥湯河原を一回りする観光用の
驢馬が三四頭いた。可憐だった。
紀元二千六百年の奉祝展に出すつもりだったが、
間に合わず、翌年の院展に出品した。
(文藝春秋刊『奧村土牛/自作自解』より jul.25 1979)

半年病床にあって、
6月からは来の宮の山王ホテルの一室を
借りて静養することになった。
次第に体も回復し、
近くを散歩しながらポツリポツリ写生もできるようになった。
なかでも、奥湯河原で見た遊園地の驢馬が面白く、
これを時間をかけて写生した。
この年は、紀元2600年のお祝いが全国でさまざまに行われた。
美術界も11月に展覧会が開かれることになっていて、
私もこれになんとか出品したかったが、
体の調子がもう一つ回復せず、
断念せざるを得なかった。
結局、この驢馬の絵は足掛け2年がかりで仕上げ、
翌年の院展に出品することになった。
題名は『遅日』とした。驢馬を2頭並べて描き、
ただ単なる写実ではなく、
壁画の気持というか象徴性を取り入れたいと思って描いたが、
やはり最終的にはリアルに傾いた。
(日本経済新聞社『牛の歩み』より 1974)



 

Okurebi
下図『遅日』
紙本
101.0×166.5cm
山種美術館所蔵
1941

 

Apple picking
素描『リンゴがり』
高島屋創業百五十年記念
奧村土牛自選素描展出品
40.8×35.3cm
奧村土牛記念美術館所蔵
1941

 

Double cherry blossoms
素描『八重桜』
373×328mm
奧村土牛記念美術館所蔵
1941

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