10 ブラジル行き決行

         いよいよお金も貯まり、ブラジル行き決行

その話を聞いてから一週間もしないうちに、お父さんは会社の人に付き添われて帰国した。羽田に着くなり、お父さんは『がんセンター』に直行したの。一週間ほどの入院で再検査。ブラジルからの沢山の病院データも先生に見せた。結果は、どういう訳か「問題なし」。

ただ少し胃が潰瘍気味。それじゃブラジルの病院で診断された、あの癌の診断は何だったの。皆、キツネにつままれたようで、どう考えても腑に落ちない。日本の先生いわく、多分、誰かとのデータのとり間違えか、誤診でこんな事になったのではと。本当に人騒がせな、でも良い方にころがって良かったわ。

どうりで空港にお父さんが着いた時、お母さんが迎えたんだけど、「付き添いの人が長時間のフライトと待ち時間で疲れ果て、ヨロヨロしていたのに、お父さんは異常に元気だったのよ」と話していた理由が分かった。お父さんは後に「僕のほうが、付き添いだったよ」と冗談まじりに話していたよ。

でもお父さんは、ブラジルに単身渡って慣れない生活で色々ストレスがあったみたい。英語、ドイツ語は出来るけど、ポルトガル語は日本で少し勉強したくらいではチンプンカンプン、ブラジル人は呑気だから中々仕事がはかどらない。直ぐに「アテ・アマニャン」(また、明日)と言って帰ってしまう。

エコノミック・アニマルで典型的日本人のお父さんには耐え難い環境だったの。それで胃にきたらしいわ。帰国して2週間ほど日本に滞在したあと、お父さんは元気にブラジルに帰って行った。めでたし、めでたし。いよいよお金も貯まり、ブラジル行き決行。三毛猫タヌー

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