12 『あるぜんちな丸』神戸出港

             『あるぜんちな丸』神戸出港

1968年3月末、チズちゃんは神戸港から乗船した。お母さん、伯父さん、伯母さん、それに4人の友達が見送りに来てくれた。ブラジルに行く前に友達に話したら「なんでそんな所に行くの、コブラと原住民とジャングルの国へ」と言われたの。今みたいにブラジルのことは日本で知られてなかったから。

けたたましくドラが鳴ると、いよいよ出発。一斉に色とりどりのテープが船上から投げられて、デッキは鈴なりの人々で埋め尽くされる。チズちゃんも少し人から離れたところに立って、地上にいる、お母さんや親戚、友人達にテープを投げる。皆の叫び声が渦巻くように聞こえた。

船はボー、ボーと汽笛を鳴らしながら、ゆるゆると岸から遠ざかる。チズちゃんは、これからの未知の世界への冒険と、一人旅の不安が少し入り混じって複雑な気もち。乗客は300人、内訳はブラジル、パラグアイ、アルゼンチンへの移民、写真花嫁、学生と一般人。

『あるぜんちな丸』の航路は神戸、横浜、ホノルル、ロサンゼルス、パナマ運河、オランダ領キュラソ―、ラ・グァイラ(ヴェネズエラ)、レシーフェ、リオデジャネイロ、サントス、モンテビデオ、ブエノスアイレスまでの49日間の船旅だ。チズちゃんはサントスまで乗ったんだ。三毛猫タヌー

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