52 教会で出会った景ちゃん

ある日曜日の朝、早く目がさめた。そして、こんな事を思い出した。ナージャがニューヨークで別れ際にこんなことを言っていた。「もし、日曜日に早起きしたら教会にでも行ってみてよ」と。その日は何もすることが無かった。そして偶然にも、その教会は電車に乗って一駅の所にあった。

教会に行ってみると、沢山の人が礼拝堂に集まっていた。子供のころから何度か教会に行ったことはあったし賛美歌を歌うのが大好きだった。讃美歌を歌い礼拝堂に座っていると気分が落ち着いてくる感覚が好きだった。それに、英語も教えてもらえるので一石二鳥。

それから毎週教会に通うようになった。その中に私よりも少し年下の景ちゃんという教会員がいた。とても心優しい思いやりのある人だ。チズちゃんが海外に居る時も何時も心の支えになってくれた。彼女とは、ずっと今に至るまで良き友人として月に一度、ファミリーレストランで会議をしている。

景ちゃんはその後、純ちゃんと結婚して何と6人の子宝に恵まれた。しかし、6人の子供を育て上げるのは容易な事ではなかった。純ちゃんは若い時から重症のアトピーで入退院を繰り返し、マンションを何軒も買えるほどのお金を使った。だから何時もギリギリの生活を余儀なくされていた。

それでも景ちゃんと純ちゃんは、もち前の明るさで6人の子供たちを立派に育て上げた。チズちゃんは到底景ちゃんの真似は出来ないと思っている。そして何十年も苦しんできた純ちゃんのアトピーも最近は少しずつ回復、今は二人で沢山の孫に囲まれて悠々自適の生活を楽しんでいる。三毛猫タヌー

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