60 乗務員訓練卒業

          Rio de Janeiro Brazil 乗務員訓練卒業式

訓練ではもちろんお客さまへのサービスがある。飲み物の作り方、カンパリ・ソーダ、ブラディー・マリー、ソルティー・ドッグ、マルティーニ、ブラジルのお酒カイピリーニャ(サトウキビの蒸留酒とライム)とキャビアのサービスの仕方、食前酒に食後酒。憶えることは山ほどある。

それからフライトをするための心得。マニキュアを必ずすること。色は真っ赤限定。日本の会社だと絶対に許されない色で許されても透明またはピンクといったところ。その上、つけまつげ、チズちゃんは信じられなかった。これも70年代の日本においては有り得ない発想だった。

水泳の訓練もあった。25メートルプールを泳ぐことが条件だった。チズちゃんは泳げるといっても犬かきと横およぎしかできなかった。クロールは出来ないし平泳ぎをすると沈んでしまうので必死だった。犬かきと横泳ぎをまぜて、やっとのことで25メートルを泳ぎきった。

訓練も終わりに近づくとユニフォームが支給される。会社のエムブレムと名前の入った名札。その時のユニフォームは黄色とオレンジ。さすが、ブラジル。まるでアマゾンの森で飛んでいる鳥達のようなカラフルな色だった。ブラジル人達はユニフォームを見てピリキット(インコ)みたいと言っていた。

1970年代は、まだ海外旅行は一般的ではなかったから飛行機も今のように大型機ではなく、こじんまりとしたボーイング707や後にDC10となった。ボーイング707は前方がファーストクラス、後方がエコノミークラスとなっていて、まだその頃のVarig航空にはビジネスクラスは無かった。

試験も無事終わり、ユニフォームを着てVarig航空本社のグァナバラ湾の見える屋上で記念撮影だ。ブラジル国旗が海風にたなびいて、明るい太陽がさんさんと降り注ぎ眩しかった。いよいよこれから数カ月間、リオをベースに南米各地とヨーロッパ、北米、アフリカをフライトすることになる。三毛猫タヌー

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