92 初めての自分の家

結婚してからテリーは、ロースクール(法学校)在学中にベイビーバー、2年後にカルフォルニア州司法試験を無事にパスして、めでたく弁護士となった。在学中からアルバイトで働いていたビバリーヒルズのメル・ロゴ―弁護士事務所で継続して働くこととなり、これでやっとチズちゃんも一安心。
テリーも司法試験に無事合格して、やっと余裕が出来た。今住んでいるアパートの契約は3年だから、そろそろ次の住み家を探さなければならない。またアパートにするのか家を買うのかという決断を迫られた。レンタルは毎月の支払が無駄になるので、どうせ支払うならと家を買うことにした。
家を買うにはエリアを限定する必要がある。今住んでいる所から余り遠くなく、空港、テリーの仕事場に通うのに便利である事。それに日本人の余り住んでいない所(日本語ばかり使い英語が上達しない)Free Wayが近くにある場所。それでグレンデール、バーバンク、パサディナの3地域に的を絞った。
家を探すにはまず、不動産屋を探す必要がある。グレンデールのセントラル通りにあるDorn Platzという不動産屋に飛び込んだ。担当者は60代とおぼしき経験豊富でグレーヘアーのいかにも品のある人で名前をハワードといった。とにかく、日本の不動産屋のイメージとはかけ離れている人だった。
チズちゃんとテリーは、すぐにハワードを気に入った。二人の予算にあう物件をチズちゃんのフライトがない時に見せてもらうことにした。家を買う話を聞いたテリーの法律事務所のボスやチズちゃんの周りの人達は、まだ早すぎるんじゃないの、そんなに慌てなくてもと忠告した。
今まで払っていたアパート代より、少し高いローンなら払える。身の丈に合う物件を選べば心配ないと二人で考えた。家探しは大変だったが楽しかった。色んな家が見られるし、時には居住中の家を見せてくれるので、インテリア、家具、カーペット、壁の色など、自分の家を持った時の参考になった。
アメリカでは、新しい家より中古の家の方が人気がある。古い家は使ってある材料も上質のものが多いし、それを自分の趣味に合わせてリノベーションをして住んでいる。チズちゃん達も家を買ったら自分で修理したり、壁を塗ったりしようと決めていた。ペンキを買って自分で塗ると材料代だけで済む。タヌー
アメリカではDIYの店があちこちにあるので何でも手にはいる。台所セットまるまるとか、どんな材料でも売られているので嬉しい。カーベットの色や素材は何百種類もあるし、ペンキもサンプルを持って行くと混ぜてすぐに希望の色を作ってくれる。DIYの店に行くと何時間いても飽きないぐらい楽しい。
家を買うまでにハワードは根気よく数えられないほどの物件を見せてくれた。ハワードもちょっと嫌気がさすのではと思うほどだった。ハワードは何時もチズちゃん達のことを考えてくれた。床が少しでも傾いている物件などは、すぐさま「この物件は買わない方がいいですよ」と忠告してくれた。
不動産屋なのにハワードは売れば何でもよいとは思っていない人だった。気に入った家を探すのは並たいていの事ではない。でも妥協もしたくない。そういう気もちをハワードは良く理解してくれ200軒以上もの家を嫌な顔もせず快く案内してくれたのは、今でも感謝している。
探し始めて一年以上経ってチズちゃんたちが諦めかけていた頃、やっと理想に近い家が見つかった。それはグレンデール市とバーバンク市の市境にあり、緑が多く、静かだがFree Wayにも近く何処に行くにも便利、ダウンタウンにも20分で行ける。
ここは特別に馬を二頭まで飼うのを許されている地区だった。すぐ裏に大きな公園があり、LA川が流れている。川の反対側はロサンゼルスで一番大きなグリフィス・パークがひろがり休日には馬に乗って人々が自然をたのしみながら乗馬を楽しんでいる風景が見られる、とても牧歌的なところ。三毛猫タヌー
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