107  マリッジ・カウンセラー

アメリカでは夫婦間に問題が起きると、「マリッジ・カウンセラー」に相談にゆくのが常だ。チズちゃんも教会の友人にそう言われて行ってみることにした。カウンセラーはグレンデールからフリーウェイに乗って20分程のパサディナにあった。女性のカウンセラーで1コース(10回)が450ドルだった。

このカウンセラーが本当にチズちゃんとテリーの結婚を救ってくれるかどうかは分からなかったが、一度行ってみるのも悪くないと藁をもつかむ思いで訪ねた。カウンセラーが言うには「本当は二人で一緒にカウンセリングを受けた方が効果あるのだけど」とチズちゃんに告げた。

まず、チズちゃんがカウンセリングを受けて、よければテリーに勧めようと思った。そもそもテリーが一緒に来るかどうかも分からない。何故、今のような状態になったのか、どのようにすれば夫婦仲がよくなるのか、今のチズちゃんの気もちはどうなのか、今後どのようにしたいのか等。

カウンセラーは、チズちゃんの気持がどうなのかを時間をかけて聞いてくれた。こんな問題はこういう風にすれば解決するという方程式もないから難しい。チズちゃんは考えた、自分一人だけでもトンネルを抜けることができれば、この結婚がどうころんでも、それはそれで受け入れなければならないと。

別居して一年ほど経ったが余り進展はなかった。風の便りでテリーが日系アメリカ人と付き合っているらしいと聞いた。オフィス近くにある寿司屋の娘らしい。テリーは相変わらず「ずっとこのままでいい」と無責任な事を言っていたが、チズちゃんは白黒つけたい性質だから、それが気に入らなかった。

仕事の合間にカウンセラーに行き、憂鬱な気分を発散させていた。何時も頭の中に霞がかかったような状態から早く抜け出したかった。テリーは、マリッジ・カウンセラーに一度だけ行ったがカウンセラーの言葉は彼に余り届かないようだった。彼自身人のいう事に耳を傾けるタイプの人間ではなかった。三毛猫タヌー

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