117 両親とサンクスギビング・ディナー

チズちゃんの両親はラスベガスからロスに帰ると、家の庭でバーベキューをしたり、チャイナタウンにあるチズちゃんお気に入りのレストラン「Miriwa」に食べにいったりした。隣のパピーとビューラ夫妻もチズちゃんの両親を夕食に招待してくれた。

パピーとビューラは感謝祭でもないのに、わざわざチズちゃんの両親のために大きな七面鳥をスーパーから買って来てサンクスギビング・ディナーを作ってくれた。彼等曰く、これが典型的なアメリカン・フードだからだと言う。アメリカでは七面鳥を焼くのは男の人の役目になっている。

パピーは、朝から腕をふるって大きな七面鳥をロースターの串にさし、時々皮が乾燥しないようにスプーンで油をかける。七面鳥は大きいので出来上がるまでには長時間かかる。パビーは、つきっきりでグルグル回る串に刺した七面鳥の世話に余念がない。

サンクスギビング・ディナーはパンプキンパイ、ヤム(黄色のサツマイモのような芋)、クランベリー・ソースと勿論ジューシーな焼き上がりの七面鳥を食べる。パピーのローストした七面鳥はとても美味しく皮はパリッとして絶品。今でも感謝祭のころになるとパビーの焼いた七面鳥の味を思い出す。

チズちゃんのお父さんの口癖は「もう長くはない。これでロスへ来るのは最後だ、だからはやく日本に戻ってこい」だった。こんな事をいいながらお父さんはそれから20年以上も元気に暮らしていた。チズちゃんのお母さんは「チズちゃんの気のすむまでやって日本に帰ってくれば」と言っていた。

将来、日本に帰るにしてもチズちゃんは心がボロボロの負け犬状態ではなく元気になって自信がついてから帰りたいと考えていた。しばらく日本に帰国していなかったので、偵察するのも悪くないと思い帰国してみることにした。ニュースではグローバル化された日本の国のイメージが伝えられていたから。三毛猫タヌー

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