120 日米の求人模様

日本を長く留守にしていると、新しい店が雨後の竹の子のようにできて変化著しい。表面的変貌にはついて行けない程めまぐるしい日本だが、社会構造はまだまだ遅れているように感じた。ゆくゆくは日本で暮らそうと考えていたチズちゃんは、毎朝新聞の求人欄を見ることにした。

現在新聞には求人欄などはないが、1980年代にはまだ求人欄があり、チズちゃんは隅々までチェックした。そこには必ず年齢、男女別が書かれてあった。それ以前には求人、女子、容姿端麗という文面が平気で書かれていたのには驚く。今ではセクハラだと非難を浴びること間違いなしだ。

すでに80年代アメリカの求人欄には、年齢や性別などは一切書かれておらず、もちろん容姿端麗などと書くのは問題外。まずは業種、フルタイムかパートか、それに報酬が載っているのみ。年齢や性別は一切ない。またインタビューではプライベートな質問をしてはならない規定があった。

約2カ月間、日本で生活してみたが、やはりまだまだ男社会で女の社会的立場は低く、ニュースを見ていても年齢に関係のない事でも必ず表示され違和感を感じた。何につけても歳を意識させる社会構造になっている。アメリカにいると誰も年齢などを聞かないし気にしていない。

一度海外に暮らした日本人が、もう一度帰国して日本で暮らすのは難しい気がする。そうでない人もいるかも知れないが、チズちゃんはいつも頭の上に漬物石をいくつも乗せられていているような感覚にとらわれ息苦しさを感じるのは何故なのだろうか、それは今も感じている。

いろいろな状況からみで、チズちゃんは離婚が成立した後もしばらくはアメリカで生活していくことを決意し、アメリカへ戻ることにした。三毛猫タヌー

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