146 日本への帰国と愛犬ドンちゃん

チズちゃんが離婚してから数年たった元旦の朝、グレンデールの家の裏庭のきれいに刈られた緑の芝生の上に、ころがっている愛犬ドンちゃんのひからびたフンを拾いながら、ふと考えた。カルフォルニアの澄み切った青い空、もうテリーと別れてから7年もの歳月が経っていた。これからチズちゃんは何を心の糧として生きてゆくのかを考えた。
離婚をした当時、日本の両親から、心配して早く日本に帰ってきたほうが良いと電話で何度も勧められたが、チズちゃんは日本に帰国する気は毛頭なかった。理由は離婚をしてボロボロになり弱って負け犬のような姿で帰りたくなかったのだ。本当に元気になってから帰ろうと思っていたから。
今は毎日気に入った仕事をして元気に暮らしている。そろそろ日本に帰っても良い時期かもしれないと思い始めていた。チズちゃんが離婚をしてすぐに飼い始めたドンちゃんと一緒に二人暮らしを楽しくずっとしてきた。勿論、帰国するとなると良きパートナーの愛犬ドンちゃんも一緒に日本に行くのは当然だ。
ドンちゃんの事を友人のKumikoちゃんに話すと、それだったらお宅のドンちゃんを我が家で育てたいから頂戴という。長年一緒に暮らした愛犬を「ハイそうですか」と簡単に渡せるものではない。ちょっと考えさせてとKumikoちゃんには答えた。
いろいろ考えた末、もし日本に行くことになると狭いケージに10時間以上もとじこめられて寒い荷物室ですごすのかと思うと可愛そうだと思った。それに東京のマンションでは多分犬を飼うのは許されないのではないかとも思った。
本当は一緒に日本に連れて帰りたかったが、このままカルフォルニアで暮らした方がドンちゃんのためには良いかも知れない。後ろ髪をひかれる思いでドンちゃんをKumikoちゃんにお願いすることにした。三毛猫タヌー
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