ドンちゃんとの思い出で一番ショックだったのは、ある日曜日の朝ドンちゃんが逃亡したのを見ていたチズちゃんが、追いかけた。するとドンちゃんは家の横の路地に入り大通りを全速力で渡ろうとしたその時、道の向う側の大きな家からドンちゃんの二倍もの身体をした大きなシェパードがドンちゃんを目掛けてフェンスから飛び出てきたのだ。
シェパードがドンちゃんを目掛けてフェンスから飛び出てきた瞬間、大きな車がシェパードにぶつかった。犬は何メートルも投げ飛ばされてしまった。目の前でそれを見ていたチズちゃんは息をのんだ。犬はまだ生きているようだったがグッタリとして道路に横たわっていた。車も急ブレーキをかけ止まった。
するとその騒ぎを聞きつけた犬の飼主が慌てて出てきたと思ったら、すぐに家に戻り、何かを手に持って出てきた。ピストルだ。チズちゃんは危機を感じた、撃たれる。パンパンと乾いた音がした。飼主は瀕死の息もたえだえの犬をピストルで撃ったのだった。
その音を聞いた近所の人が警察に連絡、すぐにパトカーがやって来た。そして何故ピストルを撃ったのかを犬の飼主に事情聴取した。チズちゃんは何もすることも出来ずボーっと立っていた。ドンちゃんは追いかけられて逃げていただけだし。
結局シェパードの飼主は瀕死の犬が可哀想だったので楽にしてあげたいとの気もちで撃ったと話していた。シェパードの飼主には悪い事をしてしまったが、どうしようもなかったとチズちゃんは謝った。飼主の人も不可抗力だったことを認めてくれたので助かった。それ以後、その大通りを通るたびに、その事件の事を思い出した。三毛猫タヌー
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