早速、ロサンゼルスに帰国したチズちゃんは、ガレージセールをすることにした。幸いにもチズちゃんの家の前は芝生が青々としていて色んなものを並べて売るのにはうってつけだ。まず、家のなかから整理をして売れるものを一つの部屋に集めてみることにした。
クローゼットからは、山のような靴が出てきた。なかには一度も履いたこともない靴もあった。数えてみると50足以上はある。これらの靴はフライトでリオに行く度に4~5足買っていたので、フライトするたびに靴の数が増えていった。ブラジルの靴は世界中に輸出されて結構洒落ている。
靴を買うと、それに似合ったバッグが必要となる。ということで靴を買うと同時にバッグも欲しくなる。それでバッグもどんどんと増えていった。かの有名なフィリピンのイメルダさんには及ばないが、靴を買うかわりに、そのお金を貯金していたらと思うと後悔先に立たず。若さとは馬鹿さかもしれない。
フライトを始めた頃、着ていたユニフォームの着物も売る事にした。羽田空港に駐機している飛行機の狭い洗面所で着替えるのは至難の業だった。その為、着物を上下半分に切り別々に着て、その上に帯を締めて簡易のお太鼓を差し込むように作ってもらった。夏は汗ダラダラになりながら着物をきた思い出が蘇る。
後にブラジル航空なのに、何故日本の着物を着る必要があるのかという問題が起きた。そして後には、この着物を着ることもやめてしまった。それで、返却することも必要なくなり、チズちゃんはずっと、この着物を後生大事に持っていたという訳だ。
ガレージセールの日、隣のシャーロンも一緒に手伝ってくれるというのでお願いした。セールの前にシャーロンが欲しいものは前もってあげることにした。シャーロンは陶器のランプと白と青の絵柄の日本の大皿を気にいっていたのでプレセントした。
いよいよガレージセールの始まりはじまり。庭中に品物を広げた。そんなに宣伝もしていなかったが、何しろ日本の品物が多かったせいか口コミでアメリカ人が、ワンサカやって来た。なにしろ全ての品物を格安で売っているのでガレージセール好きのアメリカ人にはたまらない。1ドル2ドルで買えるものがあるのは魅力的だ。
10ドルも払えば色んなものが手に入る。例の日本の着物を買いたいというアメリカ人が現れた。彼女は10ドルで欲しいといったが10ドルでは余りに安すぎるので結局いろいろやりとりして25ドルで着物と帯を譲ることにした。
日本の陶器類もつぎつぎ売れ人気があった。日本の陶器はアメリカの食器とは違い、様々な形のものがあるのがアメリカ人には楽しいらしい。アメリカの食器は、色や模様など違っても形がどれも同じなので余り変わりばえがしない。
朝、庭いっぱいに広げたガレージセールの品物も、夕方には数少なくなった。売り上げも思ったよりもはるかに沢山集まったが、それよりも品物がきれいに無くなったことの方が嬉しかった。三毛猫タヌー
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