チズちゃんは休みの日、鳥畑さんの家にいつも遊びに行っていた。鳥畑さんはチズちゃんがアメリカから帰国して住居探しに困っている時、嘘の叔父さんになってくれた人である。彼の家は、チズちゃんの家から歩いて10分位の所にあった。鳥畑さん家に行くと、いろいろとご馳走してくれた。鳥畑家は夫婦と娘さんのリカちゃんとの3人暮らし。夫婦はとても優しく、人助けの好きな人たちだった。
鳥畑さんは自宅の庭に小さなアパートを建てていて、部屋は3室あった。と言う訳で彼は大家さんである。学芸大学がすぐ近くにあるので、そこの下宿人は大抵学生さんで、卒業すると引っ越していった。春になると新しい店子が入居するのが常だった。
鳥畑さんの祖先は岩手県の出身で、もともとは伊達藩の家臣だった。今でも大船渡近くの山中には鳥畑城址がある。今の世だと小さな城の城主になるはずだ。代々手先の器用な家系らしく、伊達藩に仕え職人仕事をしていたようだ。その遺伝子を継いでいるのか、鳥畑さんは器用で自分の家の修理や家具など何でも自分でやっていた。
鳥畑さんの娘リカちゃんは、やはり器用な手先を生かして建築模型づくりを独立して一人でやっていた。彼女は無類の猫好きで可哀想な猫を見るとほっておけず家に連れてくる。家にはドンドンと猫が増え10匹以上の猫がいた。お父さんの鳥畑さんは余りに沢山の猫がいるので、猫部屋から外出禁止令をだしたので、リカちゃんの部屋で飼われていた。
鳥畑さん家族はみんな優しく、人のお世話が好きで困っている人がいると、ほっておけず率先して手助けをしていた。隣家には80歳はとうに超えたおばあちゃんが一人で住んでいた。鳥畑さん夫婦は、まるで自分の親のように食事を作って持っていったり、何かとおばあちゃんの面倒を見ていた。三毛猫タヌー
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