163 誰もがタバコを吸っていた時代

初めて奥村さんのオフィスに行った時には、事務員の岡野さんという女の人が一人だけ一緒に働いていた。全員で2人しかいないオフィスにしてはだだっ広く部屋数もはっきりとは分からなかったが沢山あるようだった。入口の右側がオフィスになっていてソファー、丸テーブルと4客の椅子が置いてあった。部屋にディレクターと一緒に入ると奥村さんが座っていてタバコをプカプカ吸っていた。 
チズちゃんは「わ~タバコ臭い」と思った。ディレクターDさんもタバコを吸うので部屋はすぐに煙でモウモウとなった。カルフォルニアに住んでいたころには、公共の場所では、ほとんどタバコを吸っている人を見かけることもなく、たまに吸っている人がいたりすると、みんなが珍しいものでも見るようにジロジロと凝視した。同じ頃、日本ではまだまだ何処でもタバコを吸うことが許されていたから何処に行ってもタバコの臭いがした時代だった。
そんなことを言っているチズちゃんも、20代、ブラジルに住んでいる頃には毎日プカプカとタバコを吸ってヘビースモーカーだった。ブラジルでは女の人も男の人もタバコを吸うのが普通だった。ときどき、子供が吸っているのを見ることもあった。お父さんもタバコを吸っていたから、チズちゃんが吸っているのを見ても全然咎めもせず一緒にタバコを吸う仲間になっていた。今考えてみると変な親子だった。
タバコといえばブラジルから帰国した当初、まだチズちゃんはタバコを吸っていたが日本の状況としては「女とタバコ」は外では印象が余り良くないので家でだけ吸っていた。ところが、数ケ月経った頃、咳が突然出始めて止まらなくなった。その内、止まるだろうと高を括っていたが全然止まる気配がない。仕方なく医者に行ったら気管支炎と診断された。理由はすぐわかったタバコだった。そして、チズちゃんはタバコを止めることにした。三毛猫タヌー
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