165 新たな就職口探し

東京に住み始めてから、ロスで一緒に仕事をしていたTちゃんに時々会って、彼女の愚痴やチズちゃんの仕事で起こったことなどを話していた。テレビプロダクションの仕事もだんだんマンネリ化して来ていた。Tちゃんのご主人は、その頃人材派遣会社を経営していた。そして会う度に「日本では40歳をすぎるとなかなか仕事が見つかりにくくなるから、なるべく早く自分にあった仕事を探しておいた方がいいよ」とアドバイスをくれた。そして、今の仕事をしている間に次の仕事を探すのがコツだとも教えてくれた。
チズちゃんは、Tちゃんのご主人Mさんにお願いすることにした。そうこうしているうちに、早速Mさんから二つの就職口をみつけたからとの電話が入った。すでに手渡してある履歴書を見てのオファーだった。その二つのなかの一つは、アパレル業界で海外から様々なものを輸入するという仕事だった。チズちゃんは働いたことのない業界で働くのも、ちょっと興味があった。
その就職先の話を奧村さんにすると、それなら近々、国際探検隊の事務局としてオフィスオクムラが始動し始めるので人手が必要になる。うちで働くのはどうかと誘われた。あちこちから仕事のオファーがあるのは嬉しい。
何故テレビプロダクションを辞めようと決意したのかというと、アシスタント・プロデューサーの仕事以外にいろいろと別な仕事をまかされるようになった。例えば海外ロケに行ってディレクターやクルーが撮影のための支払いをしたが、どう考えても支払い過ぎでボラれているらしい。そんな時にチズちゃんは、ロケにいった国の日本出先機関(領事館や大使館)に電話をして、どうしてそんなに支払う必要があったのかの説明を求める仕事にうんざりしていた。
そして、プロダクションが払い過ぎた費用を掛け合って返却をしてもらうのが仕事だった。どちらにしても、ディレクター達は英語が出来ないので何時も泣き寝入りするはめになっていたからだ。それで、チズちゃんはプロデューサーに「他の仕事をするのは全然問題はないが、出来たらもう少し給料を増やしてもらえないか」と交渉してみた。彼には、そんな気は毛頭ないとの返事だった。チズちゃんは、それで見切りをつけたのだった。
早速、Tちゃんのご主人のMさんから紹介された仕事か、オフィスオクムラで働くかを決めなければならない。アパレルの輸入業については、チズちゃんは一度も関わったことがない。全て初めから勉強する必要がある。
オフィスオクムラは、始まったばかりの国際南極探検隊の日本事務所となっていた。それまでオフィスで働いていたOさんは退職していたので、チズちゃんがオフィスマネージャーの仕事をすることになった。
ロスにある日本のテレビプロダクションで、オフィスマネージャーとして働いていた経験もきっと役に立つ。それに、同じ仕事ばかりではなく色んな仕事をさせてもらえるのは嬉しい。それで、結局オフィスオクムラで働くことにした。三毛猫タヌー
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