フランス旅行顛末記 11

           Radish & Bread ラディッシュとパン

パリの日曜日

2011年5月22日、朝食後、アレジア駅近くにある日曜日だけオープンするミニ・マルシェで新鮮な白とピンクに染まったラディッシュとマッシュルームを昼食用に沢山買う。かたわらでは、おじさんが様々な魚を氷の上に並べて大声で叫んでいる。
ミニ・マルシェの魚屋に Raie と書かれた、余りみたことのない丸い魚があったので、クロードに聞いてみるとアンコウだとういう。フランスのアンコウはヒラメぐらいの大きさで、日本のアンコウとはぜんぜん違う。ところ変われば品かわるだ。
昼食は朝買ったばかりの生野菜、そしてクロードがフェンネルをオリーブオイルと酢でマリネしただけのサラダを作った。シンプルなのにとても美味しい、新鮮だからだろう。それにラビオリ(冷凍食品)を温めたもの、デザートはシャーベットとカフェ。
昼食後、サン・マルタン運河に行く。Gare L’est(東駅)で降り、駅前の公園を通り抜けたところに運河はある。運河は1825年に開通、全長は4キロ余り。1970年には高速道路建設で危うく無くなりそうになったが、後にこの計画は中止されて今に至っている。
当初、サン・マルタン運河は、飲料水のために使われていたが、今は観光用だ。その為か、水は澱みゴミも沢山浮いている。私が想像していたものとは相当違っていたのでガッカリ。まわりの環境も少々治安が悪そうで、怖い感じがしたので早々に引きあげることにした。「君子あやうきに近寄らず」だ。
あとで調べてみるとサン・マルタン運河には遊覧船もあるとかで、もう少し先まで歩いて行けばよかったと後悔する。クリニャンクールが近いというので骨董好きの私は行ってみることにしたが、骨董屋が見当たらない。昔相棒がパリに住んでいた時には、駅前から骨董屋が軒を連ねていたそうだ。
今は安物の皮や靴、ニセモノブランドバッグなどを売っていて、客ひきが道路にいっぱい立っている。スリにとっては、かっこうの場所だ。クワバラ、クワバラ。多分、骨董屋は別の場所に移動したに違いない。それとも降りる地下鉄の駅を間違えたのか、判らないので地下鉄に乗りアレジアに戻る。
昨夜、イタリアンレストランにクロードと行く道すがら、アレジア通りの舗道の上に白いチョークで枠割してあった。彼女に聞いてみると日曜日には、時々フリーマーケットをするという。こちらではアティックセールと言うそうだ。
アティックセールのアティックは屋根裏部屋のことだから、そこにたまった雑貨や不用品を売っていたことから名付けられたのだろう。 日曜日の朝、そこには200軒以上が出店していた。買った古い家具を大事そうに抱えている人や家族連れで賑わっている。
ひやかしながら通りを歩いていると、くしゃみと鼻水がとめどなく出てアレルギー症状になる。アティックセールのホコリのせいか、それとも5月に咲く植物の花粉が理由なのかは判らない。とにかく何事もないパリの日曜日、時間はゆったりと過ぎてゆく。
文:吉田千津子 写真:奥村森
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