13 友人ケイチャンのモッタイナイ精神

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私は子供の頃、父の転勤で2~3年ごとに引越しをした。小学校3回、中学校3回、高校2回と日本中を転々としていた。父の転勤場所は兵庫、大阪、香川、愛媛、愛知、岡山県とさまざまで、再度住んだ場所もある。中学校時代には10カ月で転校する事になり、ちょっと嫌になった。

引越しは悪いことばかりではない、そのお陰で引っ込み思案だった性格も高校生になった時には別人のように外交的になっていた。友達をつくるのも早かったが、忘れるのも早かった。そんなわけで日本にいる友人は極端に少ない。

友人のケイチャンとは、めずらしく数十年の付き合いである。といっても海外生活が多かったこともあり、年に何度かの手紙と年賀状、クリスマスカードのやりとりぐらいだった。最近2人とも60代に近づいたせいか、メールや電話をする機会が増えた。

ケイチャンは男の子3人、女の子3人の大家族である。子供のいない私には、6人の子供を育てることを考えるだけでも気の遠くなるような話である。ケイチャンの子育ては苦労が多かったと思う。少子化が進む日本にあっては表彰されてもよい。

先日、一枚の見慣れない女の子の写真がメールで送られてきた。ケイチャンの孫の写真で、どこか見覚えのあるロングドレスを着ている。ケイチャンいわく、このドレスは私が30年前に一番上の娘にプレゼントしたものだという。

30年に渡り5人(娘3人に孫2人)に大切に着てもらっているのを聞いてびっくりした。こんなに1枚の服を大事にしてもらえていることに嬉しく思い感謝した。このケイチャンのモッタイナイ精神、物を大事にする考えは見上げたものだ。メディアでは、マータイさんの「モッタイナイ」運動が世界に広がっている。

私の母の時代は、物も少なくモッタイナイ精神が普通だったが、今の日本は物があふれ、使えるものでもすぐに捨ててしまう風潮がある。以前、世田谷に住んでいた頃、3~4月の引っ越しシーズンになると、まだ使える電化製品がゴミ集積所に山のように捨てられていた。この浪費社会に待ったをかけるモッタイナイ精神を、私達日本人が推進すればゴミの少ない世界が実現するに違いない。

文:吉田千津子 写真:奥村森

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