コロナ禍のベアトリス
2019年7月、ベアトリスから一通のメールが届いた。「ジルは映像を学ぶため大学の映像学科に入学しました。ここでマスターⅠという資格を取得。それが終わると2019年9月から2020年6月までカナダのモントリオールに住んでUQAM大学に通い、マスターⅡを取得する計画、私も一緒に行きます」。
2020年3月24日、「Susie、Sachiko、Yuki、コロナ禍の長い間無事でいられることを願います。カナダでは薬局と食料品店だけが営業していて、近所に買物に行く以外、出掛けることは出来ません。ジルはオンライン授業を受け、私は家で絵を描いています。カナダから愛をこめてベアトリス&ジル」。
2020年3月23日、Susieからベアトリスへのメール「メールありがとう、私達は元気です。恐ろしいコロナウイルスが世界中に広がっています。カナダの首相夫人もウイルスに感染したと聞きました。私もYukiも家に帰ったら手を洗い、外出時はマスクを着用するようにしています」。
2020年3月23日、Susieからベアトリスへのメール(続き)「Yukiは毎日パソコンに向かい、大量の情報と写真を入力しています。公共施設はコロナで閉鎖されていますが、店舗とスーパーマーケットは開いているので助かります。Sachikoは白血病で入院していましたが、2月末に家に戻りました」。
2020年3月23日、Susieからベアトリスへのメール(続き)「丈夫だったSachikoが白血病に倒れて半年、やっと退院しました、光陰矢の如し。親切なご夫婦にコロナ感染しないよう自家用車で送迎してもらい、毎週病院に検診に訪れています。今月から3週間に1回になりました。徐々に回復しています」。
2020年8月11日、ベアトリスから届いたメール「親愛なるSusie、Sachiko、Yukiへ、Sachikoが無事でよかった。私はいつも、彼女がどうしているか心配していました。私達は、7月12日にカナダからパリに戻りました。コロナ、コロナでマスク着用の習慣がつきました」。
2020年8月11日、ベアトリスから届いたメール(続き)「コロナ禍で、ジルは仕事を失い、私の仕事もうまくいっていません。将来どうなるのか分かりませんが、二人とも前向きに考え、ジルは仕事を探し、私は制作に励んでいます。Susie、フランス語上達しましたね、メール読んでビックリしました」。
2020年11月16日、ベアトリスからのメール「コロナ禍で大変ですが、ジルは更に約1か月学生をする決断をしました。働かずに勉強することを悩んでいますが、いつもは女王様のように威張っている私ですが、掃除をしたり美味しい料理を作り、召使をしています。そのうち女王様に戻りますが」。(笑)
2020年11月16日、ジルからのメール「SusieとYukiからメールもらいとっても嬉しいです。奇妙で困難な時代には、世界中の人達が互いに連絡を取り合うことが大切、心が温まるからです。 Twitterしてよかったとつくづく思います。ベアトリスがInstagramを始めたことを知っていますか」。
2020年11月16日、ジルからのメール(続き)「ベアトリスはInstagramに新しい漫画キャラクター『バクテリー』を発表しています。僕は『バクテリー』の大ファンです。Instagramを使いこなすのは相当難しいのですが、あれほどデジタルを拒絶していた彼女ですが、今はプロになりました」。
デジタルと漫画好きなジルの影響は大きい。モントリオールでのロックダウンは、ベアトリスがデジタル技術を会得する機会となった。漫画作品『バクテリー』もまた、苦境の中で生まれた作品である。『バクテリー』は、フランスの子供雑誌 J’aime rirere で連載されている。
ベアトリスによると主人公のキャラクターは、少女時代の自分だという。どんなに世の中がデジタル化して漫画作家がデジタルを駆使するようになっても、人間的な表現と感覚は、あくまでもアナログを守り通す。それがベアトリス流なのだ。人間社会や文化を知ると、もっと楽しめる漫画である。
ベアトリス(Beatrice Douillet)の作品は下記で観ることができます。興味のある方はご覧下さい。
ホームページ
http://beatricedouillet.com/
Twitter記事総集編
https://officeokumura.com/artalacarte/
漫画『バクテリー』https://www.instagram.com/douilletbeatrice/?hl=fr
文:奧村森 写真:Beatrice Douillet&奧村森