
税法知らずに寄付はできない
『一般社団法人 牛のあゆみ』は、困っている人と犬猫を支援しようと、クラウドファンデイングで寄付を呼び掛けようと試みた。だが早速、大きな壁にぶつかった。寄付額が僅か100万円を超えるだけで贈与税と所得税を払わなければならないという。
能登半島や大船渡山火事の被災者が、元通りの生活に戻るには、団体で1億数千万円、個人の家でも数千万円は掛かる。高額な寄付をもらっても半分以上が税金で消えてしまうのだ。
被災者に年間100万円未満の寄付をするのであれば課税はされないが、個人の家屋を元通りにするのに30年から50年かかってしまう。どうにもならず、絶望感にさいなまれ亡くなってしまう方も多い。我々にできることは現地を頻繁に訪ね、長い時間をかけて必要な物資や生活費を提供するしかないのである。
非営利一般社団法人は集めた資金を寄付する場合、税金は控除される。ならばと我々社団が被災地の方々に寄付しようものなら、贈与税と所得税など重課税が彼らに伸し掛かってくる。国で定めた団体が多額な寄付を実行する場合には控除が認められている。しかし、その施策には寄付を受け取る側の公平性を重んずるあまり、バラマキ的なものに終始して抜本的対策にはほど遠い。
被災者税負担を優遇する義援金制度がある。集めた支援金を直接被災者に渡すことが可能な制度だ。日本赤十字社がおこなう赤い羽根共同募金、自治体やTV局等が受け皿になって集める寄付金などがその一例だ。その支援金を義援金配分委員会が100%寄付金として配布して被災者に渡すのだ。
しかし、この制度も被災者の人達に大きな負担となる業務が待ち構えている。寄付金をもらったその日から、向こう数年間にわたってNPO法人並みの細かな税務書類を提出することが義務づけられているのだ。それはかなり複雑で、専門の経理士か税理士を雇わなくては出来ないほど難しい。生活に困窮する被災者にとっては酷というものだ。結果として義援金制度を申請する団体や個人は殆どいないという。
クラウドファンディング種類と選択
どんなに大変でも家や仕事場を失い、生活に苦しむ被災者を助けたい。例え善意の活動であっても、法を犯すことは出来ない。幸いにして非営利社団法人は企業と違い、寄付や事業で得た収入をストックすることが出来る。その資金を貯蓄して、被災している団体や個人に贈与税と所得税が掛からない時期を選んで寄付をすれば負担が軽減される。早速、クラウドファンディング会社の選択作業に入った。
クラウドファンディングサービスは、インターネットの普及により2000年代に米国で始まった。次々とサービスは進化、市場は急速に拡大発展した。日本で初めてクラウドファンディングがスタートしたのは2011年のことだ。3月に『READYFOR』、6月には『CAMPFIRE』がサービスを開始した。2011年は東日本大震災の年、災害のための新たな資金調達手段、寄付チャネルとして急速に社会に浸透していった。
クラウドファンディングには、『寄付型』『購入型』『融資型』『株式投資型』『ファンド型』の5種類の形式がある。最近、新たに『ふるさと納税型』が加わり6つになった。
『クラウドファンディング』という言葉は新しいが、不特定多数の人たちから寄付を募る手法は、古くから存在した。海外の美術品所蔵のために寄付を募る取り組み、日本での寺社や仏像などの修復作業など、これらは個人からの寄付金で成り立っていたのである。
『寄付型』は、支援金を寄付金として受け取ることの出来るクラウドファンディングである。社会課題の問題解決を目的としたプロジェクトの資金集めとしてよく利用される。非営利団体を始め法人でも近年活用されている。
『購入型』は、支援してくれた人に商品やサービスをリターン品として用意できるクラウドファンディングである。寄付型では対価性のあるリターン品を用意することは出来ない。支援者はリターン品が得られるメリットがあるので、プロジェクトの活性化が期待できる。
『融資型』は、資金を必要としている個人や企業に投資家がクラウドファンディング運営事業者を通じて資金を貸付するサービスだ。つまり、個人同士の金銭貸借をネット上で行うものである。一方的に資金を投資する『寄付型』や物品サービスの報酬が伴う『購入型』と異なり、金利的リターンが含まれるのが『融資型』クラウドファンディングの特徴である。『融資型』は2015年に成立した改正金商法で規制緩和され、活性化の期待が高まり注目されるようになった。
『株式投資型』は、新規成長企業へのリスクを軽減する資金供給を目的として、金融商品取引法等の改正及び本協会の自主規制規則の整備により、2015年5月に創設された非上場株式の発行を通じた資金調達を行うための制度である。
『ファンド型』は、ファンドを組成して特定の事業に必要な資金を投資家から募る仕組みだ。『 融資型』の場合は、投資家は元本+利息を受け取ることができる。一方『ファンド型』は、事業の成果に応じた配当金を受け取ることができる。両者は似たような仕組みに見えるが、実際にはかなり異なる。『融資型』は利息をすぐに受け取ることが出来るが、『ファンド型』は配当金を受け取るにはプロジェクト完了後まで待たなくてはならない。そのため長期的ビジネスに『ファンド型』は向いている。
『ふるさと納税型』は、ふるさと納税制度を活用して地方自治体が行うクラウドファンディングのことである。ふるさと納税の寄附金の「使い道」を具体的にプロジェクト化して、共感する人たち寄附を募る仕組みである。
いろいろなクラウドファンディングの種類があるなかで、非営利一般社団法人『牛のあゆみ』の選択肢を『寄付型』と『購入型』の2つに絞りこんだ。本来ならば我々の社団には『寄付型』が相応しい。だが、『購入型』はリターン品が加わるだけで基本的に『寄付型』とほとんど扱いは一緒だ。人と動物を助ける活動をしようと試みる我々周辺には、本物志向で根気よくモノ創りをしている創作家や出版社の方々が沢山いる。リターン品を購入することで、彼らへの応援にもつながるかも知れない。熟慮した結果、『購入型』を選択することにした。
さて型が決まれば、これからクラウドファンディング会社選びだ。ネットで調べると『クラウドファンディングサイトの比較ランキング』という記事をみつけた。それには1位から10位までの会社が記されていた。恐らく売上高順のランクと思われる。①CAMPFIRE(キャンプファイヤー)②Readyfor(レディーフォー)③Makuake(マクアケ)④kibidango(キビダンゴ)⑤GREEN FUNDING(グリーンファンディング)⑥ENjiNE(エンジン)⑦ⅦMOTION GALLERY(モーションギャラリー)⑧FUNDINNO(ファンディーノ)⑨Bankers(バンカーズ)⑩COMMOSUS(コモサス)
ランキング1位のCAMPFIRE(キャンプファイヤー)のホームページには、CAMPFIRE 創設の歴史と意図が記されている。要約すると次の通りである。新型コロナウイルスによる世界各国への感染拡大で人や物の動きが遮断され、経済活動が大きな打撃を受け、廃業や休業を余儀なくされる事業者が増えた。困っている人たちに手数料無料となる支援プログラムをいち早く立ち上げたのが CAMPFIRE だった。支援額によってリターン品内容が変わる『購入型』クラウドファンディングの仕組みが好評で注目を集めた。CAMPFIREは、2020年2月28日に創設された。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、イベント中止や自粛、予約キャンセルが相次いだ音楽事業者や飲食店、宿泊施設など、経営に大きな支障をきたした事業者を対象にして、通常12パーセント掛かるサービス手数料を0パーセントとし、決済手数料の5パーセントのみでクラウドファンディングの実施に踏み切ったのである。
Campfire ホームページより
一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる。私たちは、インターネットの可能性を信じ、誰もが声をあげられるプロダクトを創り続けます。 どんなに小さな声であろうと、自由に表現や発信ができるように。 どんな立場の人であろうと、等しく金融にアクセスできるように。 テクノロジーを駆使して、共感や仲間、お金集めを支える新たなインフラになっていく。 そこから生まれる多様な経済圏を、毛細血管のように社会にめぐらすことで、すべての人が自己表現するように生きられる経済を実装します。
OUR MISSION(文章をそのままコピー)
(続く)
一般社団法人『牛のあゆみ』 奥村森
下記をクリックするとクラウドファンディングページに入ります
https://camp-fire.jp/projects/830157/preview?token=7mhw5rlt&utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show
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