長年、海外に住んでいると色んな人がやって来る。サンフランシスコで合唱発表会があるので仲間と一緒に妙子叔母ちゃんがやって来た時は嬉しかった。我が家に招いて一緒に食事をした。チズちゃんがロス滞在中には両親も２～３回やって来てラスベガス、ソルトレイクシティー、アリゾナに観光した。
ある時、チズちゃんとまったく面識のない母の知り合いという人がロスにやってきた。美容師の仕事をしたいので助け欲しいと言われたが、彼女は行く当てもなく、おまけに英語もままならない。結局チズちゃんの家に数カ月居候を決め込んだ。
迷惑な居候に頼まれて英語学校を探してあげた。いつまで経ってもアパートを探す気配がないので、業を煮やしたチズちゃんは、とうとう引っ越しするよう命じた。その後、風の便りにその居候は美容師になったと聞いた。だが、チズちゃんのところには一度も顔をみせなかった。それには驚いた。
大学時代に同じクラスだったというだけで、突然「ロスに行くのでよろしく」と一枚のハガキが届いた。チズちゃんの都合もそっちのけでやって来た。ロス観光をさせられ、更に数日間チズちゃん宅に逗留。でも帰国後は、なしのつぶて。連絡もなくお礼のハガキ一枚も届かなかった。
我が家に泊まってあとは無しのつぶて、海外で暮らしていると、こういう結末がよくあった。礼儀を重んじる日本人はどこに行ってしまったのかと思ったことも度々あった。日本のことわざ『旅の恥はかき捨て』こんな人のために誰かが発想して出来たのかしらと思う。 三毛猫タヌー
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