戦後の思い出といえば、小学生になったばかりのガキ大将チズちゃんは近所の子分の男の子、ジュンちゃん、アキラちゃん、弟を引き連れて、家のすぐ近くにある西の川にかかる石橋によく出掛けた。橋の手すりの上に腰掛け、次々に通る米軍のシープに「ハロー、ハロー」と手を振っていた。アメリカ進駐軍の兵隊たちは気さくに返事を返してくれるのが嬉しかった。日本が負けている現実も知らない子供達だった。
モモちゃんのご主人は戦前、満鉄に勤めていて長年上海に住んでいた。彼の名前は石井貞二といった。三人兄弟で兄弟は長兄・石井白亭、弟・石井鶴三といい、ふたりとも絵や彫刻をなりわいとしていた。石井白亭の名前は聞いたことがある方も多いかもしれない。そのせいもあり、モモちゃんの家の壁には東郷青児の絵をはじめ沢山の絵が何気なく飾られていた。三毛猫タヌー
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