44 現実をつきつけられたチズちゃん

コパカバーナ海岸は観光客で何時もいっぱい。夜になるとリオの暑さを避けて屋外レストランで、生ビールを飲んだり食事をしたりする。すると必ず何処からか、数人の子供達がテーブルに近づいて、パンやオリーブなどのおつまみを指さし、「これ食べるの?」と聞く。初めは何故か判らなかった。

ブラジルのレストランは席に座ると直ぐに、パンとオリーブなどのコヴェールと呼ばれるおつまみが運ばれてくる。それを食べない人も多いので、子供達はそれを貰いに沢山やって来るの。チズちゃんも可哀そうなのであげると、入れ替わり立ち代わりやって来るのでウェイターが彼らを追い払った。

初めはなんで、こんなことを聞くのかと思ったが、後で判ったのはこの子供達は丘の上にあるファヴェーラからやって来ていた。ファヴェーラはスラム、貧民街の意味。リオの丘の上には沢山のファヴェーラがある。リオのファヴェーラは映画『黒いオルフェ』で世界的に有名になった。

ポルトアレグレにはファヴェーラもなく、こんな子供達もいなかったので、チズちゃんは驚いた。街中には裸足の子達もたくさんいた。日本にはない光景でチズちゃんは心が痛かった。リオでブラジルの現実を見た気がした。ブラジルの貧富の差は大きく中産階級が極端に少ない。

ファヴェーラは治安が悪く、生活環境も劣悪。犯罪人や麻薬売人の隠れ家となっていると聞いた。ブラジル中から仕事を求めて大都市リオデジャネイロに様々な人達がやって来る。しかし現実は厳しく、インフレ率の高いこの国では、おいそれと仕事が見つかるわけもなくファヴェーラに住むこととなる。

現実をつきつけられたチズちゃん、日本でヌクヌクと育ったチズちゃんには大きな衝撃だった。この時代に靴を履けない子、ごはんを食べられない子がいるなんて、考えてみたことも無かった。このリオへの旅行は今までチズちゃんが知らなった現実を知った事でとても有意義な旅だった。三毛猫タヌー

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